ハトブログ

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あー憧れの勧進帳 人前で淀みなく話すということ

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2008年。もう何年も前の話です。

その年の8月に漫画家の赤塚不二夫さんが亡くなり葬儀が執り行われました。

告別式では、あのタモリさんが弔辞を読み上げました。

 

最後の一文を『私もあなたの数多くの作品の一つです』という名文句で締められたタモリさんの弔辞は、赤塚先生との思い出を振り返りながら、時にユーモアも交えながら、それでいて生前の赤塚先生のお人柄もよく伝わるというもので、今でも覚えていらっしゃる方は多いのではと思います。

 

そして、我々が驚いたのは、弔辞を読み上げるタモリさんの手元がカメラに捉えられているのを見た時です。

なんと弔辞を書いているはずの紙は、白紙だったのです。

 

そうです。タモリさんはかなりの長文である弔辞を何も見ないで読んでいたことになります。しかも、誰も白紙だとは思わないくらいすらすら話していたのです。

勧進帳のパロディを告別式でやっていたということになります。

 

勧進帳」といえば、歌舞伎の演目の一つです。

 

勧進帳のあらすじはこうです。

wikipediaから引用します。

 

"源頼朝の怒りを買った源義経一行が、北陸を通って奥州へ逃げる際の加賀国の、安宅の関石川県小松市)での物語。

義経一行は武蔵坊弁慶を先頭に山伏の姿で通り抜けようとする。辿り着いた関で、弁慶は焼失した東大寺再建のための勧進を行っていると言う。しかし、関守の富樫左衛門の元には既に義経一行が山伏姿であるという情報が届いており、山伏は通行罷りならぬと厳命する。これに憤慨した弁慶は仲間と富樫調伏の呪文を唱え、疑いを晴らそうとする。

感心した富樫は先の弁慶の言葉を思い出し、勧進帳を読んでみるよう命じる。弁慶はたまたま持っていた巻物を勧進帳であるかのように装い、朗々と読み上げる(勧進帳読上げ)。なおも疑う富樫は山伏の心得や秘密の呪文について問いただすが、弁慶は淀みなく答える(山伏問答)。

富樫は通行を許すが、部下の一人が強力(ごうりき、義経)に疑いをかけた。弁慶は主君の義経金剛杖で叩き、その疑いを晴らす(初期の演出では、富樫は見事に欺かれた凡庸な男として描かれていたという。後になり、弁慶の嘘を見破りながらその心情を思い騙された振りをする好漢、として演じられるようになった)。

危機を脱出した義経は弁慶の機転を褒めるが、弁慶はいかに主君の命を助けるためとは言え無礼を働いたことを涙ながらに詫びる。それに対して義経は優しく弁慶の手を取り、共に平家を追った戦の物語に思いを馳せる。そこへ富樫が現れ、先の非礼を詫びて酒を勧める。それに応じて、弁慶は酒を飲み、舞を披露する(延年の舞)。舞いながら義経らを逃がした弁慶は、笈を背負って富樫に目礼。主君の後を急ぎ追いかける(飛び六方)。"

<以上、wikipediaより引用>

 

山伏に変装して関所を通り抜けようとする義経一行。

関守に疑いをかけられ勧進帳を読み上げるように言われますが、とっさに弁慶が機転を利かせて全く関係ない巻物を、さも勧進帳であるかのように読み上げたことで窮地を切り抜けます。

 

この一幕をタモリさんはパロディした形になります。

 

タモリさんは、用意した白紙の弔辞がカメラに映るのを意識していたわけではなさそうなので、おそらく赤塚不二夫さんとタモリさんとの間でのみ伝わればいい芸だと考えていたのではないかと思います。

 

皆が注目するあの状況でそれを簡単な風にしてやってしまうのは、ただただすごいなと思うのですが、私が初見でタモリさんの弔辞が読み上げたものだと錯覚したのは何故なのかと考えてみました。

 

そうして思い当たったのが、タモリさんの弔辞には「えーっと」とか、「あのー」といった繋ぎの言葉が全く出てこないということです。

 

普通、スピーチなど人前で話す時にはえーとかあーとか、間をつなぐ言葉が出てしまいます。

よほど練習していっても、本番で人前のように緊張する状況だとつなぎ言葉が出てしまう自信が私にはあります。

 

それが先ほどのタモリさんの弔辞には全く出てきていないです。

えーとかあーとか途中で挟んでしまうと、聞いている人に白紙であることを匂わせてしまうので、芸としては完成しないところがあります。

 

この辺に思い至った時、そうかだから私は、タモリさんが事前に書いたものを読み上げているのだなという印象を持ったのだなと思いました。

やっぱりタモリさんすごい!とも思いました。

 

えーとかあーとかいうのを減らすことができれば、タモリさんには及ばないにしても、私にもすらすらと人に伝わりやすいスピーチができるようになるのかも。

 

そんなことを考えながら書店で本を見ていますと、えーっとを無くすコツが書かれた本がありました。

 

見た瞬間これだ!と思いました。

私は人前で話す時に、よく「えーっと」とか「あのー」とか使ってしまっているのですが、それをなくせるというタイトルに惹かれて読みました。

 

この本には、大事なポイントがいくつも書いてあって、

フィラー(つなぎ言葉)が多いと話が嘘っぽく聞こえる、自信がないようにみえる

・心、思考、声などをトレーニングすればフィラーが減らせる

・普段から準備をしておけば、とっさに振られてもうまく対処できる

 

この辺りの点が印象に残りました。

 

何をどう準備すればいいかなどの具体的な内容は本書に譲りますが、普段から話すのに自信がないと思いがちな自分にとって、淀みなく話すための訓練の指針になるような本でした。

 

本書の内容を踏まえると、タモリさんが例の弔辞のようなことができたのは、普段から咄嗟のやりとり(急に無茶振りなどへの対応など)をよくしているからと言えます。

 

そりゃ、「笑っていいとも!」や「ミュージックステーション」など生放送の番組を何十年と続けてきたわけだから、急なトラブルへの対応というのはプロ中のプロなわけです(実際、テレホンショッキングへの素人の乱入とか、ミュージックステーションt.A.T.uが歌の出番前に途中で帰っちゃったとか滅茶苦茶な状況とかありましたから)。

 

あとタモリさんの十八番芸の四カ国語麻雀などは、瞬時の切替力が求められるので、最高難易度だと思います。

徹子の部屋で年末にタモリさんが出演される回は、たいてい徹子さんから無茶振りされているので、それを見るのは好きですがやる方はものすごい大変なんだろうな。

 

まずは、遊びでいいので架空の状況を想定して話すところから練習を初めてみようかと思います。