ハトブログ

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催眠術を全く信じなかった私が、これまでの人生で唯一催眠術にかかった日

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もう随分と前の話になりますが、私が中学受験に挑戦をしていた時の話です。

 

本命の中学校の試験前日に、塾での最終授業を受け終えた私は、家に帰る電車に乗るため駅に向かいました(当時家の近くには塾がなかったため、塾には電車で通っていました)。

 

駅のホームを歩いていると、私の目の前を一羽の鳩がとことこと歩いています。

駅に住む鳩には誰かエサをあげる人がいるのか、人を見ると近くまで寄ってくるようです。

 

ホームから電車の乗るまでの道中、勉強で頭が疲れていた私はボーっとして鳩のあとをつけるように歩いていました。

 

すると、いきなり「コラッ!」という大声が聞こえました。

ハッと顔を上げると、近くにいたおじさんがこちらをものすごい形相で睨んでいます。

「えっ?」といきなり怒鳴られた私が立ち尽くしていると、そのおじさんはすぐにそこから立ち去ってしまいました。

 

どうやらそのおじさんには、私が鳩を追いかけていじめているように見えたようです。

 

うーんなんだかなーと思いながら、電車に乗って家に帰ったのですが、試験の前日でナーバスになっていた小学生の私にとっては、先ほどの出来事が理不尽に思えて段々腹が立ってきました。

 

試験に向けて集中しなくてはと思うのですが、気持ちを切り替えられません。

親に話すのもなんだか情けないような気がして、話せませんでした(普段なら家に帰ってすぐに愚痴っていたでしょうが、試験前日というのは複雑な心境のようです)。

 

少し暗くなりながらもテレビを見ながら晩ご飯を食べていると、バラエティ番組が放送されていました。

それは、芸能人が、スタジオに呼んだ催眠術師に催眠をかけてもらうというものでした。

確か、特定の言葉が話せなくなる催眠や飲み物の味が変わる催眠などのことをやっていたと思います。

 

へーすごいなとか思いながら、見ていました。

 

そして、番組のエンディングにその催眠術師だけが出てきて、カメラ目線で視聴者に向けてこんなことを言いました。

「今から私が3つ数えると、皆さんは今抱えているストレスを手放すことができます」

そして、3、2、1、パンっと手を叩き、続けてこう言いました。

「それでは明日からもお仕事頑張ってください」

こうしてその番組が終わりました。

 

その瞬間、先ほどまで理不尽なことに腹を立てていた気持ちが一瞬にして無くなりました。

自分でも嘘みたいでしたが、どうでもよくなったのです。

 

そのおかげで気持ちが落ち着いて試験前日でしたが、しっかりと寝ることができました。

試験当日も、落ち着いて挑めたので、その結果ギリギリでしたがなんとか合格を手にすることができました。

 

もしあの時あの番組を見ていなかったら、あのままの気持ちを抱えて、寝付けなかったことだろうと思います。そうなれば、受験でも力を発揮できずに終わっていたかもしれません。

 

その出来事があって以来、私はあの時テレビに出ていた催眠術師を密かに人生の大恩人だと思っています。

 

ただし、元々は疑り深い性格なのか、あれ以降に催眠をかけられるという人に出会ったことがあり、その際にかけてもらっても、一度も催眠状態になったことはありませんでした。

 

結果として、いい意味の催眠術にはかかったことがあるので、いい体験ができたなという感覚だけ残っています。