久々のブログの更新となりました。
私が生きているうちにやりたかったことの一つとして思い続けていたことを、最近になって達成できましたので、そのことについて書いていきます。
人生で一度体験してみたかった大峯山での修行体験
私が人生でやりたかったことというのは、「大峯山」での修行体験です。
テレビなどで山伏の格好をした人たちが登っているのをこれまでに度々目にしていて、そして過酷な修行をしているのをみて、いつか挑みたいと思っていました。
先日、念願叶って奈良県天川村にある大峯山での修行体験に行って参りましたので、そのレポを本日は書いていきます。
"修験道(しゅげんどう)は、山へ籠もって厳しい修行を行うことで悟りを得ることを目的とする日本古来の山岳信仰。仏教に取り入れられた日本独特の宗教でもある。修験宗ともいう。修験道の実践者を修験者または山伏という。"
(引用:wikipedia)
私たち素人がこの大峯山の行場での修行を行うには、先達(せんだつ)と呼ばれる、長年修行を積んでいらっしゃる方々の指導が必要です。
今回は縁あって知り合いの修行体験グループに混ぜてもらうことができまして、参加しました。
以下、表記の都合上、大峰山と書くことにします。
行程
今回、洞川地区(どろがわちく)と呼ばれる、天川村の温泉郷が宿泊所でした。
この地区からさらに先に行くと大峰山の入り口があります。
集団だったのでバスで登山口まで向かいます。
実は、今回私たちが山に登った日は雨が降っていまして、登山中にスマホを取り出すのが大変だったので、ここから先、登山の様子を撮った写真がありません。
すみません!
私の文筆力でどこまで伝わるか分かりませんが、大体の雰囲気が伝わればいいなと思います。
女人結界門
登山口には、女人結界門と呼ばれる門がありまして、ここから先は男性のみ入山が可能です。
実は、この山に入って修行ができるのは男性のみです。
登山ができるのが男性のみなのです。
そして、この門のそばには、歴代の先達の記念碑がありまして、ここで先達から諸注意を受けつつ、お経を唱えて無事に帰ってこられることを祈願しました。
ここから隊列を組んで登山の開始です。
修行の内容
あとはひたすら修行場を目指して、山を登っていきます。
雨によって、ぬかるんだ道を進みます。
木でできた段差もツルツル滑るため、足元に注意しながら、そして先達のペースにふり落とされないように歩いていきます。
ちなみに、修行の内容はこちらの芸人さんの動画にある通りでした。
この中で紹介されている4つの修行
・油こぼし
・鐘掛岩(かねかけいわ)
・西の覗き
・裏行場
を体験するというのが、修行の内容です。
このうち、今回私が体験できたのは裏行場を除いた、3つでした。
裏行場は落ちたらただの怪我では済まない非常に危険な修行のため、この悪天候では実施できないとの先達の判断でした。
修行を終えて帰ってきてから上に貼った動画を見たので、裏行場は行けなくてよかったなと思いました。
それでは以下では、体験できた3つの修行について、1つずつ感想を述べていきます。
油こぼし
今回の3つの修行のうち、一番初級という感じでした。
鎖を手で持って、岩場を上がっていきます。
多少、足の置き場に迷う場所もありましたが、鎖をしっかり掴んでいれば体勢を崩すことなく登ることができます。
ただ、雨が降っていて鎖や地面が濡れていたため、滑りやすくて晴れている時よりも難易度が高くなっているのだろうなと感じました。
鐘掛岩
油こぼしを登った先に待ち構えるのが、鐘掛岩です。
ここでは、大きな岩山を手と足を使って登っていきます。
ロッククライミングみたいです。
結論から言うと、私にとっては今回体験した3つの修行のうちこれが一番怖かったです。
高さがリアルなのです。
5mくらいの岩場なので、落ちても怪我くらいでは済むでしょうが、そのくらいの高さが逆にリアル感があって怖いです。
この岩場は、先達がお手本として登っていくのですが、後ろの人はその手の置く位置、足の置く位置を覚えておかなければなりません。
そうでないと、途中で手や足を置く場所が分からなくなり立ち往生してしまうので、必死に前を行く人の動向を見ながら、よじ登ります。
途中の足を置く場所は、足の横幅の半分にも満たないくらいの場所もあって、そこに体重を載せて移動する時は、生きた心地がしなかったです。
特に雨で濡れた岩は滑りやすく、ツルッと行ったら下にいる人も巻き込む可能性が高いため、自分一人だけの問題ではないので余計に緊張します。
ものすごく集中して取り組むことになりました。
岩場の先には、鎖を掴んで上がるところがあり、その直前くらいが怖さのピークでした。
それでもなんとか必死のパッチで登りきり、ほっとしたのも束の間、次の場所へと進みます。
西の覗き
大峰山での修行といえば、これでしょ!と言うくらい有名な修行場です。
私はこれを人生で一度体験したくて、今回参加しました。
これはどういうものかといいますと、命綱みたいなものを肩から通してつけて、それを後ろで先達が持ちます。
そうして、修行者は崖から身をじりじり乗り出していきます。
この際、命綱が抜けないように手は前方でガッチリと組んでおきます。
身を乗り出していき、崖下を覗きます。
目の前は数百メートルはあろうかという高さです。
高所恐怖症の私は、これだけでも息が詰まりそうになります。
崖から下を覗くというところまできたところで、先達から声をかけられ、さらにそこから15cmほど下に下げられます(体験してみると気分的には1mくらい落とされた感覚になります)。
こうなると、自分ではどうしようもなく、宙ぶらりんになったような感覚になります。
そして、その状態になってから、
「親孝行するかー?来年もお礼参りに来るかー?」などと、後ろから声をかけられます。
この状況では、「はい」と答えるしか自分が生還する方法がないため、「それはずるくないっすか?」とか思いながら、大声で「はい!」と何度も答えて引き上げてもらいます。
終わってからは、恐怖と生きてかえれた安堵とで、腰の力が抜けてしまい、その場でややフラフラとしながら元の隊列に加わり、他の人の行が終わるのを待ちました。
今回、私にとって不幸中の幸い(?)だったこととして、
・私が極度の近眼で、西の覗きの行にメガネを外して臨んだこと(メガネは落下防止のため外すように指示されます)
・天候が悪く、崖下が霧で覆われていたので、下の様子が見えなくて実際の高さの感覚を感じずに済んだ
こういったことから、崖下を覗くにあたって恐怖感が多少緩和されたのは高所恐怖症の私にとってラッキーでした。
とにもかくにも、これで今回の山での行は終了します。
ちなみに、この行は一人一人行うため、何人かで行った場合、前の人の行が終わるのを確認してから自分の番になります。
この際、確実に前の人は「思ったよりも怖かった」とヒーヒー言いながら戻ってくるので、恐怖感が倍増してしまいます。
なので、この行ではできれば一番はじめに率先して行うことをおすすめします。
それが一番恐怖を感じずに済む方法だと思います。
修行後は山頂まで登っておりる
これらの修行後は、山頂まで登りました。
そして、そこから元来た道を引き返していき、女人結界門のところまでおりました。
雨で濡れていたため、地面は滑りやすく、下り道は登ってきた時よりも危険でした。
一緒に下ったパーティーでも滑って転んだ人がいました。
私も何度か体勢を崩すという場面があったため、最後まで適度に緊張感を持ったままおりました。
そして、なんとか女人結界門まで帰ってくることができ、同行したパーティーのメンバーと写真を撮ってから、バスで旅館まで行きました。
実は水行が一番きついのでは?
旅館では、温泉につかったりご飯を食べたりして、楽しく過ごしました。
修行後のご飯は格別です。
結局、高級なものを食べるよりも、体を動かしてから食べるということの方がおいしくご飯を食べるコツなのだと実感します。
しかし、修行は実はまだ残っています。
それが翌日の水行です。
初日は、登山の疲れからぐっすり眠ってしまい、気づいたら翌朝になっていました。
翌朝早朝に、ふんどしに履き替えて近くの「龍泉寺」に歩いていきます。
そして、ふんどし一丁になって先達に続いて水場に入っていきます。
水行の様子がどんな感じなのかというのは、リンク先の画像を見てもらえれば伝わるかと思います。
7月の暑さだというのに、水はキンキンに冷えています。
何年も修行体験をしている人から事前に聞いていましたが、明らかに水風呂よりも冷たいです。
おかげで、肩まで水につかるとすぐに体がガチガチと震えだします。
皆が水につかったら先達がお経を唱え始めますので、それに合わせて我々もお経を唱えました。
この際、あまり体は動かさないほうが、自分の周りの水が体温で温められるため、少し寒さが和らぐということに気付きました。
なので、体は震えますが、なるべく静かにその場にいるようにしてただ時が過ぎるのを待っていました。
お経を一通り読み終わったら、やっと水から出ることができます。
体を拭いて旅館に戻り温泉に入ると、極楽気分を味わうことができました。
旅館に帰ってからの朝食後には、護摩行にも参加することができましたので、これにて一通りの修行を体験できたことになります。
まとめ
と、修行の内容はこんな感じでした。
私の場合は、この修行に憧れがあったのでどれも感動しながら行うことができました。
この山にガイドしながら毎日のように登っている先達はすごいなと思います。
修行をした後は清々しい気持ちになりましたので、これからまたがんばれそうです。
しかし、来年もまたお礼まいりに行かないといけないのかなー。修行は結構大変でしたが、また体験したいと思っている自分もいて、なんだか不思議な感覚です。
今回の記事では、修行の行程を前編という形でまとめました。
大峰山登山では、不思議な話なんかも色々と聞いたり体験できたりしたので、その話は後編にしようと思います。
宿泊した旅館
昔ながらの旅館という雰囲気でいい感じです。
朝の洞川地区
空気が澄んでいて非常に気持ちが良かったです。